ひみつ工場の日常

【マッチ箱とクリスマスシフォン】

去年の暮頃になると思います。

その時はクリスマス用のねじまき雲さんの珈琲パウダーをいただきに、朝からてくてくと国分寺を目指してチキチキ5(リアカー)を引いて歩いていきました。
朝の9時くらいに出たと思うんだけど、やっぱりついたのは夜。
日もとっぷり暮れた中、ねじまき雲さんに到着して店内にくた~と倒れこむように座って、ねじさんが淹れてくれた優しいカフェオレをいただいていたら、隣に座られたおじさまがいらっしゃったのデス。

お名前を「児玉 伸一」さんとおっしゃる。不思議な不思議な画家さんデス。

毎日、気にとまった何かを小さな小さななにかに描きとめる。
そんな画家さんであります。
その方がそっと差し出した一枚のマッチ箱がありました。

「え?」
「開けてみて」
「え?」
「いいから」

すっとマッチ箱を開けてみると、そこにはねじさんの珈琲パウダーで作ったクリスマスシフォンと、おなじくねじさんが描いたパッケージの珈琲が描かれていました。
「すご!かわいい!」

にこにこしながら、
「これね、くっつくんだよ」
って店内のてつの部分にマッチ箱を近づくと
「とん!」
っという音とともにくっつきました。
「マグネット内臓なんだ」
子どものような笑顔でこっそり教えていただきました。
「よかったらどうぞ」
そうやって、プレゼントでもらったこのマッチ箱君は、いつもは工房の冷蔵庫にくっつけてあります。
そして、ぼくらがお店にいる時に子ども達が暇そうにしていたり、興味がありそうな人がいたら「ころん」の店内にもっていって自慢しています。

あれからまた1年が過ぎて、今年もクリスマスシフォンが始まりました。
そして、このマッチ箱君は今日も、工房の冷蔵庫に「とん!」ってくっついています。

https://chanchikido.easy-myshop.jp/

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