ひみつ工場の日常

チキチキ5のある夜の話

最近は日が落ちるのも早くなって、チキチキ5(リアカー)を引いていたのはたぶんまだ17時を回ったくらいの時。でも、もう日は落ちて真っ暗な中てくてくと歩いていたら、車道を挟んで隣を走っている中学生くらいの子ども達が数人。

「あ!あれなんだ!」

チキチキ5をみつけてわたってきました。

一番大柄の男の子が

「それなんすか!?」

「シフォンケーキだよ」

「うまいんすか!?」

失礼な奴だな。。。

「うまいと思って作ってるよ」

「まじすかくいてぇっす。いくらっすか!?」

やたらと声がでかい。。。

「プレーンが300円で、他は250ダヨ」

「まじすか!お前買えよ!」

隣にいたのはちょっと小柄な男の子。

おいおい、お前買わないで友達に買わすのか?それっていじめになってないよな?う~む。

「あ、じゃあチョコください」

え~買うのかよ~。これいじめじゃないよね?買いたいんだよね?

ちょっと迷っていると、その小さな男の子がお金を差し出しました。100円玉2枚と50円と5円。

「あ、これ5円玉だよ」

「まじすか!じゃあ、おれ100円出すよ!」

と声と身体の大きな男の子。

お、いじめじゃない感じだなぁ。ならいいんだけど。。。

「足りないのは50円じゃね?」

「あ、すみません!」

「いや、ぼくあるんで」

大きな男の子が謝り、小さな男の子が50円玉を出してくれたので5円玉をお返ししてチョコシフォンを取り出しました。

「お、これか!」

それをもぎ取ったのは大きな男の子。

「まじやらけぇ!」

「やらかいんだからそんなぎゅって持つなよ」

「あ、すんません」

「それと買ったのはその子なんだから彼のだろ」

「あ、すんません」

こいつ、ものすごく素直な子なのかもしれない。。。

「じゃあ、みんなで食べようぜ!」

「いや、食べさせてくださいだろ」

「あ、そうすね」

そうして小さな男の子にひとかけらのシフォンをもらって

「まじうめぇ!」

って叫んでみんなで車道を渡って元の道に戻っていきました。

「おい、道路渡るの気をつけろよ」

「あ、すいません!」

っていいながら。

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