2016年6月1日にスタートした、【地域通貨de循環生ゴミ堆肥】プロジェクト
小さい小さい一歩だけど、長くお付き合いしたいプロジェクト。
このプロジェクトのリーダーヤナガワファーム代表 柳川貴嗣さんのメッセージを転記します。
はじめの一歩。
有機農業を始めて10余年。作り方や販売のこと、農業経営や「有機農業の理念」などを色んな方に教わってきました。
そして、自分の中で核となる理念が出来上がりました。それは「土から生まれたものは土に還る。そのサイクルの中に農業という人間の産業を組み込んだものが有機農業である。
つまり、有機農業は農法やブランドなどという概念ではなく、それ自体が循環型の社会システムである。」
今ある農業の99%は化学肥料を用いた農業です。この化学肥料というものは、チッソ、リン酸、カリウムという3つの肥料からできています。
この3つの肥料は何からできているのか。
チッソ…空気中に存在するチッソ(常温では気体)を、圧力釜で圧縮して固体にする。
リン酸、カリウム…鉱石。あと250年から300年で採掘しきってしまう。
いずれもそのほとんどが海外産であり、製造や運搬にとてもエネルギーを使います。
余談ですが、この3つの肥料だけで野菜は「野菜の形になる」のです。
人は「健康のためには色んなものを食べなさい」と言われて育ちます。
それは生きるために必要な栄養素(ミネラルなど)が、単一の食物から摂取できないからです。
偏った食生活が続くと人は病気になります。病気になれば薬を飲む。
野菜も同じで、3つの肥料だけで育った野菜は病気になります。だから農薬をかけるのです。
話を戻します。
有機農業は社会システムなので、一人では何もできません。
自分の有機野菜を買っていただくことはとてもありがたいことなのですが、残念ながらそれだけでは有機農業が広まることはないのです。
なぜなら、そこには循環がないからです。
しかも、「本当の意味での循環」を考えると、野菜を食べた人の糞尿を堆肥にして野菜を作ることになります。
しかしこれはハードルが高すぎる。なぜなら、現代人の食べ物には様々な食品添加物が含まれていて、それがどの程度糞尿に含まれるか定かではないからです。
服用する薬にも同様のことが言えます。
だから「本当の意味での循環」は現段階では無理があります。
だったら、もう少しハードルを下げて、循環できる最大公約数はどこなのか。
それが生ごみ堆肥でした。
一人一人が生活の中で、少し気を使って分別してくれるだけで、安全で美味しい有機野菜になって自分たちに還ってくる。
これを思いついた時、自分の中で点と点だったものが、線に変わりました。
そしてすぐに、色んな所にアプローチをしました。
しかし、そこから長い戦いの始まりです。
取引先のスーパーから出る生ごみを分けてもらえないか、学校給食からでる生ごみを使って堆肥を作り、
食育として授業に取り入れてもらえないか。
もちろん市役所に相談もしました。しかし、いずれも返ってくるのは渋い答え。
まあ、そうですよね。そんなメンドクサイこと誰もやりたがらない。
だってそんなことしなくても今の社会はそれなりに回っていきますからね。
やはり夢物語なのか、とあきらめかけていた頃、ちゃんちき堂のテツさんと出会いました。
最初は、自分の野菜を使ってシフォンケーキを作ってもらうといったことでした。
そして、顔合わせを兼ねて初めて二人で飲みに行ったとき、お互いが何を考えていて、どんなことをしたいかの話になりました。
そこでびっくりしたのが、テツさんとは職業が違うので、アプローチは異なるものの、目指す社会の形は限りなく近いものでした。
久保田さんは地域通貨を使って物を循環させたいと考えていて、それは生ごみ堆肥を循環させたいという自分の考えに合致するものでした。
まさか、青梅市に自分と同じ考えの人がいるなんて思ってもみなかったので、沢山お酒を飲んでしまいました(地域通貨とお酒のくだりはテツさんの投稿をご覧ください)。
そして飲み会を重ねること数回、ついに一つのプロジェクトが動き出します。
それはテツさんとその仲間たちが青梅市根ケ布で営む「キッチンカー空堂」、そこで僕の野菜を使ってもらっているのですが、その「空堂」から出る生ごみを堆肥化し、野菜を作り、また「空堂」で使ってもらうという小さな循環型システム。
本当に小さな一歩です。イレギュラーも満載なはずです。でも、とても楽しみです。
もちろん、この循環システムは小さいままで終わらせるつもりはありません。
最低でも市区町村レベルを目指します。
そして、青梅市レベルでこの循環型社会ができるようになったら、色んなことが良くなるでしょう。大山団地さんのように。
そんな未来に行ってみたくありませんか?