フリーペーパー

フリーペーパーgenteの紹介

cafeころんの廊下にひっそりと作ったフリーペーパーコーナー。

ここにはちゃんちき堂厳選!?のいくつかのフリーペーパーが置いてあるんだけれど、少しずつ彼らの紹介を出来る時にしていこうかなって思っていて~。
その一発目のご紹介デス!

——–gente(ヘンテ)——–
創刊準備号でした。
genteっていうのは「人々?」っていう意味みたい。A4サイズのこのフリーペーパーは手触りはちょっと新聞紙のような、でも新聞紙よりは厚いかな?わら半紙のような感じもするけれど、写真がきれいに印刷されている。
そんないい雰囲気の紙のやつ。

創刊号で取り上げているのは「Sign with Me」っていうcafeのオーナーさんが主人公。
東大の赤門近くにあるこのcafeで働く方の多くは聴覚に障がいがある方々だそうです。

ものすごく、ものすごく興味深い話で。
でも、あんまり書くとネタバレになっちゃうから、できたら手に取って読んでみてほしい。
ぼくがすごく印象に残っているのは、なにより「耳が聞こえない」っていうキーワードは障がいであったり、問題のカテゴリに分類されるけれど、それとは別に「人々」の中の固有な「文化集団」なんじゃないかっていう話。

このお店のオーナーさんは日本手話を使われる方で、これはぼくらが会話で使う「日本語」とは別な「言語」なんだそうだ。
このフリーペーパーは筆談でのインタビューで作られたんだけど、その時このオーナーさんは「日本手話」を「日本語」に翻訳して筆談している。
ぼくらは日本語でしか話をしないから、バイリンガルのオーナーさんが通訳してくれていたっていう話。
なにかがぐらっと揺れたヨ。

そして思い出した光景がぼくの中にはあって。

以前、サラリーマンしていた時、耳の聞こえない若者が会社で雇用されたことがあったんだ。
その会社は耳が聞こえる前提のインフラしかなく、文化もそうで。。。なんとなくいいことしたいだけで雇用したように思えていて、その子はろう学校ではとても優秀な子だったと聞いたけれど、結局お茶くみなんかしか仕事が与えられていなかった。

その子がひょんなことからぼくの部署に配属になって。
その頃、ぼくは社員教育のプログラム開発、実地での研修をやっていたんだけど。
それで、彼にはプログラムのバージョン管理や社員の受講状況、受講の予約受付やフォローアップ履歴なんかを総合的に管理するデータベースの開発をお願いしたことがあった。
実際には情シスがあったので、そこにぼくとの口頭(筆談)のミーティングで彼がまとめた要件定義書をもとに開発依頼をかけて、要件定義書通りのものをぼくに納品するっていう仕事だったんだけど、紆余曲折ありながらも出来上がったんだ。
それで、彼の頭の中がプログラム開発に落とせるくらい論理的思考ができるってわかったんだけど、そんなある日、
「いついつ××教育やるから場所押さえて」
ってお願いしたらもじもじしながら
「できません」
って。
「え?なんで?」
って聞いたら、耳が聞こえないから電話ができないからだって言うんだ。
ぼくは
「電話しろっておねがいしているんじゃなく、場所をとってってお願いしているの」
って伝えて。
そしたら、考えた末に実際にその場所まで行って、筆談して予約してきてくれた。アウトプットが欲しいだけだから手段なんかどうでもいい。その前段階で自分の「できない」で可能性をつぶしてほしくなかったからとてもうれしかった記憶があるんだけど。。。genteを読んだ後には違和感が残ってる。

なんだろうか。
まだ、言葉にならない違和感なんだけれど、ぼくは彼とのやり取りの中で遂に手話は覚えなかったんだよね。
筆談でできるならそれでいいじゃんって思ってて。ホワイトボードやらチョークやらをイロイロ買い込んだ記憶はあるけど、それはぼくのフィールドに彼が入りやすくするための道具を用意しただけだったのかもしれない。
ぼくが彼のフィールドに入ろうとはしなかったというか。。。

もし、ぼくの周囲の世界が「英語」だったらぼくは「英語」を覚えるんだろうナ。
もし、ぼくの周囲の世界が「手話」で成り立っていたらぼくは「手話」を覚えるんだろうナ。
ぼくがその違う言語圏に踏み出す一歩を踏み出さなかった過去のイロンナ経験は、そこになにがあったんだろうナ。必然性。。。例えば生存や経済的ながなかったからなのかな。
そんなことをもやもやと考えている。

この街でリアカー引いているぼくも同じで。
この街にはたくさんのコミュニティやゆるい集団やらがイロンナ属性で存在しているけれど。
お互いにそこから一歩踏み出して相手のフィールドに入っていくっていうのはあんまりないんだよネ。
一部の不思議な人を除いては。
ぼくも誰も知り合いがいなかった時は、結果的にイロンナ、コミュニティに顔を突っ込んでいたんだろうと思うけれど、今ではそれが少しずつなくなりつつあるのかもしれないなぁっとも思って。
でも、毎日がいっぱいいっぱいでそんな余裕が。。。なんて思うけれど、でも、genteはそんなぼくの頭をぐらって揺らしてくれたフリーペーパーになりました。

読んでみてほしいヨ。
そして、ぼくは置いてくれるとこを探してみようって思ってるんだ。

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